2006-01-01から1年間の記事一覧

「トスカのクリスマス」アン・モーティマー

マシュー・スタージス Matthew Sturgis :文 アン・モーティマー Anne Mortimer :絵 ネコのトスカは、お昼寝が大好き。けれど、今日はみんな、クリスマスの準備でおおいそがし。トスカは、どこへ行っても邪魔者あつかいされてしまい、ゆっくりお昼寝もでき…

「クリスマス・キャロル」リスベート・ツヴェルガー

英国の文豪、チャールズ・ディケンズ Charles Dickens の「クリスマス・キャロル Christmas Carol」にリスベート・ツヴェルガーが絵をつけた絵本。 「クリスマス・キャロル」の全文が収録されていますので、文章は、かなり多いです。 私は、すでに村岡花子:…

「鼻のこびと」リスベート・ツヴェルガー

ドイツの作家、ヴィルヘルム・ハウフ Wilhelm Hauffの「鼻のこびと」に、リスベート・ツヴェルガーが絵をつけた絵本。 ツヴェルガーの絵本のなかでも、かなり好きな一冊です。40ページくらい絵本で、文章も、けっこうあります。色使いが美しく、キャラクター…

「オリビア」イアン・ファルコナー

イアン・ファルコナーの絵本、「オリビア Olivia」(2000年)。バレエやオペラの舞台衣装や芸術を手がける仕事をしていた作者が、はじめて描いたこの絵本は、2001年のコールデコット賞銀賞を受賞しました。 子ブタのオリビアの、キュートな日常をかいた絵本…

「コララインとボタンの魔女」ニール・ゲイマン

ニール・ゲイマン Neil Gaiman の「コララインとボタンの魔女」。以前にも読んだのですが、ちょっと再読しました。 コララインは、大きなお屋敷に引っ越してきたばかり。といっても、ぜんぶがぜんぶコララインの家族の所有ではなく、古いお屋敷は、いくつか…

「ぼくのつくった魔法のくすり」ロアルド・ダール

「不思議の国のアリス」で、あやしげなクスリを飲んで、体が縮んでしまったアリス。 "for it might end, you know," said Alice to herself, "in my going out altogether, like a candle. I wonder what I should be like then?" 「だって、どう、もしかし…

「アッホ夫婦」ロアルド・ダール

ロアルド・ダールの「アッホ夫婦」(「いじわる夫婦が消えちゃった!」)を読みました。 世にも醜悪な夫婦に虐待されたサルが、しかえしをする、といったストーリー。 最初は、この夫婦がいかに不潔で、アホで、性格が悪いか、といったことについて、愉快に…

「魔法のゆび」ロアルド・ダール

ロアルド・ダールの「魔法のゆび」を読みました。 主人公は、「魔法のゆび」をもつ女の子。どうしてそんな力を持っているのかは、本人にもわかりません。でも、頭に血がのぼると、ひとさし指から光がでて、自分を怒らせた相手を、動物に変えてしまいます。 …

「魔女がいっぱい」ロアルド・ダール

ロアルド・ダールの「魔女がいっぱい」を読みました。 この物語に登場する魔女は、なんというか、すごいです。まず特徴として、「かぎ爪」「はげ」「鼻の穴の形がヘン」「足に指がない」「つばが青い」など。それで、かぎ爪を隠すために手袋をし、はげを隠す…

「穴」ルイス・サッカー

ルイス・サッカーの「穴」を読みました。 1999年のニューベリー賞受賞作。 「墓穴を掘る dig one's own grave」という言葉があります。 正直、この物語のテーマはそれなんじゃないか、という気がするくらい、墓穴を掘りまくりの物語。 特に最後、悪役の「墓…

「ながいよるのおつきさま」マーク・シーゲル

今日はお月見ですね! というわけで、お月さまの絵本。 「ながいよるのおつきさま」 シンシア・ライラントが文を書いたものに、マーク・シーゲルが絵をつけたものです。 日本でも、一年は十二の「月 moon」で数えます。睦月、如月…。そのほかにも、お月さま…

「きらきら」シンシア・カドハタ

シンシア・カドハタの「きらきら」を読みました。 2005年ニューベリー賞を受賞した作品です。 作者は、アメリカの日系三世とのことですが、この物語も、日系人の家族のお話です。 最初、「難病で少女が若くして死んでしまうお話」ということで、てっきり実話…

ゲド戦記4「帰還」について3

「わたしたちは予備の人間なんだろうか、とテナーは思った。予備の人間であるというのは、どういうことなんだろう?」 という文章について、「予備の人間」とはどういうことなのか、よくわからなかったので、考えてみました。 まず、原文を参照してみますと…

ゲド戦記4「帰還」について2

「アルハは教えられてたの、力を持つためには自分も他人も犠牲にしなくちゃいけないって。取引きよ、何かを手にするためには、まず与えよってね。それが間違いだとはわたしにも言えない。でも、わたしの魂はそんな狭いところでは息ができないの」(本文より…

ゲド戦記4「帰還」ル・グウィン

あまりの暑さに夏バテしておりまして、もっぱら、とりためたビデオばかり見てすごしておりました。気がついたら一ヶ月以上もたっていました…。おひさしぶりです。 さて、ようやく少しは涼しくなってきましたので、なんとか気力をふりしぼって読んだのが、ア…

「おどる12人のおひめさま」Kinuko Y. Craft

キヌコ・クラフトさんの絵本を読みました。1989年に描かれたものです。 「おどる12人のおひめさま」を再話したもの。もともとは、グリム童話なのですが、それをアンドルー・ラングが再話したものを、さらに再話したものです。 かんぬきのかかった部屋に眠る…

「タランと角の王」について2

「タランと角の王」について、マビノギオンや三題歌や、アイルランドの神話や、ちょっぴり「ホビットの冒険」なところについて、ちょこっと調べてみました。 とりあえず、一番、内容と関係ありそうだったのは、「ブリテン島三題歌 Trioedd Ynys Prydein」で…

「タランと角の王」ロイド・アリグザンダー

ときによると、わしらは、答えをきいて知るより、答えをさがしても見つからぬことから、より多くのことを知る場合がある "In some cases," he said, "we learn more by looking for the answer to a question and not finding it than we do from learning t…

「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

自然も超自然も、一枚の貨幣の表と裏。自然か不自然か、なんという区別は、ありゃあせん。これも在るし、それも在る、ということですわ But we do be all part of one universe, one world, where nature and supernature are two sides of one coin. There …

「マビノギオン」

「マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語集」 JULA出版局 中野節子:訳を購入したので、これまで、部分部分でしか読んでなかったマビノギオンを、通読しました。 「マビノギオン」といった場合、まずひとつは、ウェールズの富豪に嫁いだ英国子女シャーロット…

「ペガサス」Kinuko Y. Craft

ギリシア神話のペガサスと、コリントスの英雄ベレロポーンの物語を再話したものです。キヌコ・クラフト(Kinuko Craft)の絵本。絵がとても美しいです。細かいところまで描き込んであるので、隅々まで眺めるのが楽しい。怪物の絵もなかなか迫力があります。 …

「ねずみの騎士デスペローの物語」ケイト・ディカミロ

辞書によると、同じ「絶望」でも、「desperate」は「hopeless」と違って「希望はまだ少しはあるという含みをもつ」のだそうです。(参考「ジーニアス英和辞典第3版」大修館書店) この物語は、「desperate」をその名の由来にもつ、ねずみのデスペローと、 絵…

「図説ドルイド」ミランダ・J・グリーン

「図説ドルイド」 ミランダ・J・グリーン(Miranda J. Green)著 大出健:訳 井村君江:監訳 東京書籍。「ケルト」の「ドルイド」について書かれた本。図説、ということで、図版は、けっこうありますが、モノクロで、カラーではありません。 内容は、入門書…

「ぼくを探しに」シェル・シルヴァスタイン

シェル・シルヴァスタインの「ぼくを探しに」 原題「The Missing Piece」 邦訳は講談社から 倉橋由美子:訳 で出ています。 百ページほどの絵本ですが、文章は1ページに数行しかないので、比較的すぐに読めてしまえます。英語はそんなに難しくはなく、また、…

「指輪物語完全読本」リン・カーター

トールキンの「指輪物語」について、リン・カーター(Lin Carter)が著したもの。 邦訳。荒俣宏:訳 私が持っているのは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の公開にあわせて、2002年に文庫化されたものですが、原書が発売されたのは1969年で、「指輪物語」…

「まぼろしの白馬」エリザベス・グージ

日本の家紋に波と兎をあしらったものがあって、それは、海にうつった白い月が波間を移動していく様子が、兎が走って行くように見えたところからきているのだそうです。それと同じように、海にうつった月が、あるいは白波が、白い馬の走るさまに見える…という…

「ハートで感じる英文法」大西泰斗

いわゆる「英語アレルギー」だった私も、英語を見ただけで拒否反応を起こすということもなくなり、細かい文字の本でも苦痛を感じないようになってきたので(最初のころは、文字は大きめじゃないとダメだった)少しは慣れてきたかなあと思い、ワンステップア…

「Water Tales」アリス・ホフマン

さびれてゆく海辺の町で二人の少女は考えていた。 なぜ、時はうつろい、人もまたうつろうのか。 なぜ、いつまでも昔のままでいられないのだろう?“in spite of how much they wanted their lives to remain the same”ずっと変わらないでいたいのに アリス・…

「或る旅人の日記」加藤久仁生

「或る旅人の日記」、青を基調とした色使いの美しい短編アニメーションです。 なんていうか…じつにファンタジックなんですよ。 これといって、すごい事件が起きるわけでもなく、絵本とか、詩とかに近い世界です。 絵本が好きなかたにはオススメ。 私は、つい…

「ずーっと ずっと だいすきだよ」ハンス・ウィルヘルム

I was very sad, too, but it helped to remember that I had told her every night, "I'll always love you."(本文より) ハンス・ウィルヘルムの「ずーっと ずっと だいすきだよ」の英語版「I'll Always Love You」を読みました。 三十ページくらいの絵本…