「ペガサス」Kinuko Y. Craft

ギリシア神話のペガサスと、コリントスの英雄ベレロポーンの物語を再話したものです。キヌコ・クラフト(Kinuko Craft)の絵本。絵がとても美しいです。細かいところまで描き込んであるので、隅々まで眺めるのが楽しい。怪物の絵もなかなか迫力があります。


あらすじとしては、才能にあふれ、美男子でもあるベレロポーンは、人気もあったが、それと同じだけ敵も作っていた。その敵の奸計により、王妃との関係をプロイトス王に疑われたベレロポーンは、「PUT TO DEATH THE BEARER OF THIS MESSAGE.(直訳するなら、「死に追いやりたまえ、この手紙を運びし者を」といった感じでしょうか? 要するに、「この男を殺してチョ」といった意味かと)と書かれた王の信書を持って、リュキアの王のもとへと遣わされます。


しかしリキュアの王は、古くからの慣習に従って、十日日間は、用件をきかずに使者をもてなします(…緊急の用件だったらどうするんだろう…)
その間、ベレロポーンは、リキュアのお姫様と恋仲になります。リキュアの王さまも、ベレロポーンのことを好ましい青年だと思うようになりました。が、プロイトス王の頼みをきかないわけにもいきません。そこでリキュアの王は、ベレロポーンに、怪獣退治を命じます。
それは、頭はライオン、胴はヤギ、尾はヘビで、火を吐く獣、キマイラでした。これまで、多くの勇者が、この化け物を退治にでかけて、戻ってきませんでした。


ベレロポーンはSoothsayer(預言者、占い師)のもとへと赴き、助言を請います。そこで、「地で戦っては勝ち目はない、ペガサスに乗って空中で戦え」との助言をうけます。ベレロポーンはペガサスを探し、女神の助けも得て(女神の名前は、文章には出てきませんが、絵を見れば、アテナだということがわかります。肩にフクロウを乗せているし、胸当てにはメデューサらしき顔が)ペガサスの背に乗り、キマイラと対決します…


再話ということで、もとのお話とは、違う部分もあるかと思います。この絵本では、キマイラを退治したあと、ハッピーエンドで終わっています。


英語の文章は、絵本にしては、ちょっと難しめ。でも、ギリシア神話は、ネット上で、けっこう紹介されているので、
こちらとか→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AC%E3%83%AD%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%B3
それらを参考にすればいいと思いますし、基本的には、化け物を退治して、お姫さまをお嫁さんにもらう、というストーリーですから、絵だけみても、だいたいのところはわかると思います。


あと、この絵本の中身を、ちょっと見てみたいという方は、キヌコ・クラフトさんのオフィシャルサイト
http://www.kycraft.com/index.html(英語)
で、絵本の絵やイラストなどが、多数掲載されていますので、そちらを参考にどうぞ。目の保養になるステキなサイトです。


→この本の詳細(amazon)