「ウルフ・タワーの掟」タニス・リー

The Claidi Collection (Lee, Tanith. Claidi Journals.)The Claidi Collection (Lee, Tanith. Claidi Journals.)

Dutton Juvenile 2003-06-02


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

キスはやけどになんか似てなかった。それより翼が生えた気分。
It isn't like being scalded. It's like having wings.(引用)

タニス・リーの「ウルフ・タワーの掟」
原題「Law of The Wolf Tower」1998年。アメリカ版タイトルは「Wolf Tower」で、英国版とは違っています。
ウルフ・タワーシリーズ(The Claidi Journals)全四作の、第一巻。
邦訳と洋書と読みました。洋書は、私が購入したのは↑上に掲載してるアメリカ版で、「The Claidi Collection」といったもの。ウルフ・タワーシリーズの三作が一冊に合本されているものです。非常に分厚いです。普通の辞書くらいの大きさと厚みですが、辞書より重いかもしれません。でも文字は大きめで読みやすいです。シリーズは全四巻(いまのところ)ですので、最終巻だけは別に購入しないといけません。
邦訳は、産業編集センターから中村浩美:訳 桜瀬琥姫:カバーイラスト で出版されています。


あらすじ
<ハウス>と呼ばれる、外界から閉ざされた…というより、自ら閉じこもっている宮廷風の場所で、奴隷として貴族に仕えるクライディは、十六歳の少女。ヒステリックで意地の悪い主人から虐められてばかりの日々にうんざりしていて、なんとか逃げ出したいと思っています。
そんなある日、外の世界<荒地>からやってきた、金髪の王子ネミアンに、クライディはときめきをおぼえます。
捕らわれの身になったネミアンを逃がそうとする、ある女性の口から、クライディは自分の出生の秘密をきかされます。じつはクライディの母親は<ハウス>のプリンセスで、執事と身分違いの恋をしたために、<荒地>へ追放されたのだと。
クライディはネミアンとともに、<ハウス>から逃亡するのですが…?


タニス・リーといいますと、英国ダーク・ファンタジーの女王。大人向けの耽美な作風で知られているかと思うのですが、この作品は、少女小説
設定や展開が王道、という感じでどんどん進むのですが、最後にはひとひねりの工夫がされています。


それが何のために必要なのかもわからず、誰もがばかばかしいと感じるような<掟>や<儀式>でも、それが<掟>であり<儀式>であるという理由だけで、命をかけて守らなければならない…、そんな世界をぶっこわす女の子のおはなし。
なんとなく、占いによって、日々の生活が制限されていた日本の平安貴族を思い出しました…。本当かウソかは知りませんけど、占いの内容によっては、トイレに行っちゃいけない日なんてのもあったらしいですし…

ウルフ・タワーの掟―ウルフ・タワー〈第1話〉 (ウルフ・タワー (第1話))ウルフ・タワーの掟―ウルフ・タワー〈第1話〉 (ウルフ・タワー (第1話))
Tanith Lee

産業編集センター 2005-03


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


過去まとめ:タニス・リー