デイルマーク王国史「詩人たちの旅」

Cart and Cwidder (Dalemark Quartet)Cart and Cwidder (Dalemark Quartet)

Oxford University Press 2003-02-06


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われはオスファメロンのために歌うものなり、わが旅する世界はひとつにあらず
I sing for Osfameron, I move in more than one world.(引用)

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「詩人たちの旅」、デイルマーク王国史、四部作の第一作です。
原題「Dalemark Quartet 1 Cart and Cwidder」1975年
邦訳は東京創元社 田村美佐子:訳 カバー絵:山野辺若


あらすじ
馬車で旅をしながら、歌をうたい楽器を奏でる詩人(うたびと)クレネン一家。モリルはその末の息子。本名は、タナモリル・オスファメロン。伝説の吟遊詩人の名前をもらっています。
ある日、キアランという少年が、客として馬車に同乗し、一家とともに旅をすることに。
さまざまな事件が起こり、モリルは父親から、強い魔法の力をもった楽器を譲り受けます。モリルになら、必ずやその力を使いこなすことができるだろうからと…


以前に、迷ったすえ、「牢の中の貴婦人」を先に読んだのですが、先に読まないほうが良かったかな〜と、ちょっと後悔。
「牢の〜」を先に読んでしまったために、謎の少年の正体が最初っから想像がついてしまいました…。
「牢の〜」の方の世界の設定と、このデイルマークでは、似てはいますけれど細かい違いがあるので、あっちのキヤルタンと、こっちのキアランは、必ずしも同一人物ではないのでしょうけど。


同一か同一じゃないか…ということに関しては、
「牢の〜」P83に出てくるアスグリムがヒルダにあてて書いた、
『抑制なき真実とは、
時にも場所にも縛られぬもの』
で始まる詩と、

このデイルマーク王国史1巻のP175でキアランが歌った、
『なにものにも縛られぬ真実は
時にうずもれることも、ひとところに囚われることもない―』
が、同一かそうじゃないのかが気になります…。
いえべつに、同一だったらどうだというわけでもないのですけど…。


読んでいて、ダグナー、ブリッド、モリル、兄・姉・弟という組み合わせや、父親との葛藤などが、「呪われた首環の物語」と似てるな〜という印象を受けたのですが、「呪われた首環の物語」が発表されたのは、この作品のすぐ後なんですね。
この作品の主人公は末っ子なんですけど、長男のほうにスポットをあててみたくなって、書いたのが「呪われた〜」なのかなあと、ちょっとそんなことを思ったりもしました。

詩人(うたびと)たちの旅―デイルマーク王国史〈1〉 (創元推理文庫)詩人(うたびと)たちの旅―デイルマーク王国史〈1〉 (創元推理文庫)

東京創元社 2004-09


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過去まとめ:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ