「心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿」アルジャナン・ブラックウッ
その前に君がぼくを呼ぶことがなければね
"Unless you should send for me sooner."(引用)
アルジャナン・ブラックウッド Algernon Blackwood(1869-1951年)の「心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿」原題:「John Silence: Physician Extraordinary」の邦訳を読みました。
東京創元社、植松靖夫:訳 カバー絵:山本ゆり繪
ブラックウッドの名前表記は、アルジャーナンとかアルジャーノンとかアルジャノンといったものもあるようです。
アーサー・マッケンらと並ぶ、20世紀初頭の英国怪奇小説の巨匠。
H・P・ラヴクラフトにも影響を与えたとか与えなかったとか…。
巻末の解説によると、「黄金の夜明け団 The Hermetic Order of the Golden Dawn」といった魔術の秘密結社に所属していたようです。クロウリーとかメイザースとか、なんだか詳しくはよく知らないけれども怪しそうな人たちがいた団体らしいので、怪しい集団かとも思ったのですが、イェイツも所属してたんですね…。となるとべつに怪しい集団でもないのでしょうか。
でもって、解説によりますと、この小説の主人公、ジョン・サイレンスのモデルは、その黄金の夜明け団のメンバーのうちの誰からしいです。
この本に収録されているのは、全6話。連作形式になっていまして、基本的に短編で読み切りです。
- 事例一 霊魂の侵略者 A Psychical Invasion
- 事例二 古えの妖術 Ancient Sorceries
- 事例三 炎 魔 The Nemesis of Fire
- 事例四 秘密の崇拝 Secret Worship
- 事例五 犬のキャンプ The Camp of the Dog
- 事例六 四次元空間の虜 A Victim of Higher Space
いわゆるオカルト探偵もの、といいますか、オカルトの要素をからめた推理小説かと最初は思っていたのですが、べつにそういうわけではありませんでした。超常現象にみせかけたトリックがあるとかではなく、普通に怪奇小説です。
「事例五 犬のキャンプ」、これが一番おもしろかったです。
原文は、Project Gutenbergで無料で読めます。
1〜3話まではこちら
→http://www.gutenberg.org/etext/10624
(Three John Silence Stories)
4〜6話はこちら
→http://www.gutenberg.org/etext/10659
(Three More John Silence Stories )
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