ベルガリアード物語「魔術師の城塞」

Castle of Wizardry: Book Four of the Belgariad (Belgariad)Castle of Wizardry: Book Four of the Belgariad (Belgariad)
David Eddings




Amazonで詳しく見る
by G-Tools

要するにすべての問題は、自分が何者であるかを見つけだすことにあるんだね
The whole problem seems to be finding out just exactly what you really are

デイヴィッド・エディングス、ベルガリアード物語の第四巻。「魔術師の城塞」 原題「Castle of Wizardry」 1984
邦訳はハヤカワ文庫、柿沼瑛子:訳、HACCAN:表紙画


あらすじ
クトゥーチクとの死闘で力を使いはたし、昏倒するベルガラス。ポルガラの庇護の対象はガリオンから<珠>を持つ子供にうつり、守られる者から守る者へ、成長したガリオンは一行の指揮をまかされます。
ガリオンを待ち焦がれて、再会に胸を躍らせるセ・ネドラ。しかしガリオンの隣には見知らぬ美少女が。
<珠>と<剣>がひとつになり、リヴァ王の帰還を全世界に知らしめたとき、敵もまた目覚めます。
<予言>から与えられた己の使命を自覚し、敵地へ旅立つガリオン。
残されたセ・ネドラは、<リヴァの女王>として軍を率いることを決断します。まだ一度も口にしていない言葉、「愛してる」をガリオンに伝えるために――


冒険といっても保護者同伴で、困ったときや弱気になったときにはいつでも<お母さん>に頼ることができた旅は終わりを告げ、ガリオンの真の旅がはじまります。仲間たちの使う剣術の、それぞれの優れた点をとりいれた独自の剣術も編み出し、剣士としても魔術師としてもほぼ一人前に成長したガリオン。とはいえ、なにもかも全部一人でやらなくちゃいけないわけでもないので、ベルガラスとシルクにだけは協力してもらいます。
大規模な戦争を回避し、最小限の犠牲ですむようにとトラクとの直接対決を選んだガリオンですが、世界の情勢は戦争へと傾いていき、各国からの寄せ集めの軍をひとつにまとめるため、セ・ネドラが生きた旗印となります。


正直、セ・ネドラがこんなに活躍するキャラだとは思ってませんでした。まるでジャンヌ・ダルク
もっともジャンヌは鎧を注文するとき、胸のところはもっとこう…こう、女性に見えなきゃ困るのよなんてやりとりはしなかったでしょうけど…。


状況はシリアスなのに、思わず笑っちゃうようなやりとりがいくつもあって、そこがこの作品の魅力かなあ。あと、王さまだとかお后さまだといっても、普通の人とあまり変わらないところとか。国を治めるのも家庭を治めるのも、基本はそんなに変わらないのよってところ。良くも悪くも庶民的な物語にしか思えないんですよね。作者の目線がいつも庶民の位置にあるというか…


今回の原題「Castle of Wizardry」、「Castle」は城のことですけど、チェスのルークのことでもあり、キャスリングすることでもあるようです。
チェスってやったことないし、ルールとかぜんぜん知らないので、辞書の説明を読んだだけではよくわからなかったのですけど、キャスリングがどういうことなのか、こちらのサイトさん→http://chess.plala.jp/p4-3.htmlをみたら理解できました。
それにしてもチェスで一番強い駒ってクイーンなんですね…。なんか納得。


魔術師の城塞 - ベルガリアード物語〈4〉 (ハヤカワ文庫FT)魔術師の城塞 - ベルガリアード物語〈4〉 (ハヤカワ文庫FT)
柿沼 瑛子

早川書房 2005-05-25


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


書庫:デイヴィッド・エディングス