ベルガリアード物語「蛇神の女王」

Queen of Sorcery (Belgariad)Queen of Sorcery (Belgariad)
David Eddings

Del Rey 1989-08


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あなたは大人になりたくないのよ。永遠に子供のままでいたいのよ。でも、それは不可能だわ。そんなことは誰にもできないわ。
You don't want to grow up. You want to keep on being a boy forever. You can't, though; nobody can.

デイヴィッド・エディングス、ベルガリアード物語の第二巻。「蛇神の女王」 原題「Queen of Sorcery」1982年


あらすじ
新たな仲間を加えながら、盗まれた<アルダーの珠>を追う一行。これまでの王たちと違い、トルネドラの皇帝は、あまり友好的ではない態度を一行に示します。そこで出会った皇帝の娘、セ・ネドラは、十六歳の誕生日に王の花嫁となるべくリヴァへ行かなくてはならない、というばかげた古い約束事…リヴァの王の家系ははるか昔に途絶えており、行ったところで王などいるはずがないのです…を避けるため家出し、正体はバレバレだというのに嘘をついて、一行に加わります。わがままな皇女に反発を感じながらも、惹かれもするガリオン。その皇女を暗殺しようと現れた敵は、ガリオンにとっても宿敵…両親を殺した男だとわかり…?


この物語がどうしてベルガリアード物語なのかわかりました。ガリオンがベルガリオンって名前だったからなんですね…。ベルっていうのは尊称みたいなもので、魔術師になったらベルってつけてもらえるみたい…。
一巻で、灰色のヒゲが生えるころになっても「この子」("a boy"とか"the boy")って呼ばれてるんじゃないかって心配してたのに、実際はヒゲが生えるよりも早く、立派な一人前の「ベルガリオン」って名前で呼んでもらえるようになって、嬉しいかというと、どうもそうでもないようです。
一巻の旅立ちが十四歳で、現在は十五歳。声変わりなどもはじまって、思春期まっさかりという感じですね主人公。なにげに女の子にもモテまくりです。アメリカの小説だからか、たんに作者の趣味かどうかはわかりませんが、やたら積極的な女の子ばかりでてくる気がします。


旅の仲間に加わったと思ったら、あっというまに退場してしまったレルドリンがおまぬけで、いい味だしてます。同じく新しい仲間、マンドラレンはどこをどう考えてもランスロット…なのはともかく、マンドラレン、というかミンブル人が、やたら古風な言葉をつかうので困ります。
ThouとかTheeとかDothとか、なんでそんな言葉を使うんだって、作中でガリオンも文句を言っていますけど、ほんと、なんでそんな言葉をつかうんでしょう…。でもファンタジーで、特に騎士や王族といったものは、古い言葉を使いたがる種族のようなので、これを機にThouとかTheeに慣れるのもいいのかもしれません。


それにしても、お嫁さんのことまで予言で決められているというのはちょっとびっくり。
でも考えてみると、要するに「運命の相手」ってことなんですよね。「運命の相手」って、神さまとか運命とかいうのが、生まれるまえから結ばれると決めている相手ってことだから…。
なのに、なんでだろう。本当に生まれる前から決められていて、決められてることだからねなんて展開だと、ロマンティックさが減るような感じがするのは…。といって、べつにそれでこの物語がつまらなくなるわけでもないし、この先どうなるのかは楽しみなんですけど。


蛇神の女王 - ベルガリアード物語〈2〉 (ハヤカワ文庫FT)蛇神の女王 - ベルガリアード物語〈2〉 (ハヤカワ文庫FT)
デイヴィッド・エディングス

早川書房 2005-03-24


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書庫:デイヴィッド・エディングス