「しあわせなモミの木」ヤン・ナッシンベンネ

The Beautiful Christmas TreeThe Beautiful Christmas Tree
Yan Nascimbene

Sandpiper 2001-09-24


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「The Beautiful Christmas Tree」1999年
ヤン・ナッシンベンネ  Yan Nascimbene 絵、シャーロット・ゾロトウ Charlotte Zolotow 文
クリスマスの絵本です。クリスマスが近いので…


あらすじ
おしゃれな街の、おしゃれな通りに建つ、一箇所だけ小汚い空き家に、ある日、クロケットさんという男の人が越してきます。
自分で家の窓をみがいたり、地面を掘りかえしたりするクロケットさんのことを、近所の人間は変わった人だと考えます。
そしてクリスマス・イブのこと。花屋の前を通りかかったクリケットさんは、きれいな花々や、立派なモミの木にまざって、一本だけ、枯れかけた小さな木があることに気がつきます。それは売り物にもならないようなしろもので、花屋さんがお金を受けとるのを拒んだくらいですが、クリケットさんはきちんと代金をはらって買い取り、愛情をこめて話しかけたり、窓辺に飾ったりし、やがて春がくると地面に植えかえ、木に近づく鳥のためにパンくずをまきました。
それをみて近所の人たちは、ますますクリケットさんを変人だと思うようになり、こどもたちにはクリケットさんを避けるようにといいます。
しかし年月がたち、街が昔ほどきれいではなくなったころ、クリケットさんの家と、クリケットさんのモミの木は…?


たくさんのお金はなくても、愛情とじゅうぶんな手間さえかければ、枯れかけた小さな木でも、ふるびた汚い家でも美しくなり、ほったらかしで手入れをおこたれば、どんなに美しかったものでも年月とともにそうではなくなる。「本当に美しいもの」を手に入れるためには何が必要か、静かに語りかけてくれる絵本。


絵を描いているヤン・ナッシンベンネは、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を1988年と1993年の二度受賞している画家さん。シンプルでデザイン的な構図と、味わい深い色使いです。


文の方はもともと、1972年に一度出版されている絵本からのもので、そのときはルース・ロビンス Ruth Robbinsが絵を描いています。
そちらは「しあわせなモミの木」というタイトルで、みらいなな訳で童話屋から邦訳もでています。
今回のこのヤン・ナッシンベンネ絵のバージョンは1999年に出版されたもの。こちらは今のところ日本では未訳のようです。


↓ルース・ロビンス絵バージョンの邦訳です

しあわせなモミの木しあわせなモミの木
みらい なな

童話屋 1991-11


Amazonで詳しく見る
by G-Tools