「夏の王」O.R.メリング 2

引き続き、O.R.メリング(O.R. Melling)の「夏の王」について。作中にでてくるローレルのおじいさんの蔵書が、なかなかおもしろそうなので、ちょっと調べてみました。読んでみたいものも多いのですが、読むのは大変そう…。アメリカ版と邦訳版とで、名前が出てくる本と出てこない本とあります。

◎邦訳・アメリカ版、両方に出てくる本

・「ブライアン・フロウドの妖精画集(原題:Faeries)」
ブライアン・フロウド(Brian Froud)の「妖精画集」と紹介されていますが、アラン・リーAlan Lee)との合作です。またサンリオから出ていた邦訳タイトルは「フェアリー」です。アラン・リートールキンの「指輪物語」の挿絵でも有名ですね。この画集は私も持ってます。大好きな本。

FaeriesFaeries
David Larkin

Harry N Abrams 2002-10


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・ロバート・カーク牧師(Reverend Robert Kirk)「エルフ、フォーン、妖精たちの伝承」(The Secret Commonwealth: Of Elves, Fauns, and Fairies)
邦訳は、国書刊行会の「英国ロマン派幻想集」というアンソロジーのなかに、「秘密の共和国」荒俣宏:訳 が収録されているようです。英語ですと、こちらのサイトさんで読めます。→http://www.sacred-texts.com/neu/celt/sce/
エヴァンツ・ヴェンツ「ケルト地方の妖精信仰」(The Fairy Faith in Celtic Countries)
英語ですと、こちらのサイトさんで読めます。→http://www.sacred-texts.com/neu/celt/ffcc/index.htm
シェイクスピアの「真夏の夜の夢
日本語だとこちらのサイトさんで読めます。→http://www.e-freetext.net/mdnght.html (小説化したものの訳です)
英語ですと、こちらのサイトさんで読めます。→http://www.gutenberg.org/etext/1113
・マイケル・スコット「アイルランドの神話と伝説」(Irish Myths and Legends)
マイケル・スコットは「錬金術ニコラ・フラメル」シリーズの作者でもあります。
・ワイルド夫人「アイルランドの古代伝説」


◎邦訳にはあって、アメリカ版には出てこない本
・「キャットキン」(Catkin)。P・J・リンチ(P.J.Lynch)絵、Antonia Barber:文の絵本。「キャットキン」という話自体についての叙述はあります。
・「ケルトの神話と伝説」(この本に関しては原題も著者名もわかりません…)


◎邦訳には無く、アメリカ版には出てくる本

・ジョゼフ・キャンベル(Joseph Campbell)「神の仮面」(The Masks of God)
アメリカの神話学者の著名な本。「Primitive Mythology」「Oriental Mythology」「Occidental Mythology」「Creative Mythology」の全四作。そのうち、「Occidental Mythology」は邦訳がでています。青土社山室静:訳「神の仮面―西洋神話の構造」上下巻。
・パメラ・トラバース(Pamela Lyndon Travers)「What the Bees Know」
パメラ・トラバースは、メアリー・ポピンズの作者。
・ジェイムズ・スティーヴンズ(James Stephens)「小人たちの黄金」(The Crock of Gold)。
邦訳は晶文社、横山貞子:訳 英語ですと、こちらのサイトさんで読めます。→http://www.gutenberg.org/etext/1605
・James Hollis著「Tracking the God: The Place of Myth in Modern Life」
・J・R・R・トールキン「On Fairy Tales」
トールキンのエッセイ。「妖精物語について」「妖精物語とは何か」邦訳は、ちくま文庫『妖精物語の国へ』杉山洋子:訳、評論社『妖精物語について - ファンタジーの世界』猪熊葉子:訳 などの本に収録されています。英語版ではローレルの祖父は、このエッセイから好きな言葉として

Behind the fantasy, real will and powers exist independent of the minds and purposes of men.(引用)

という一文をあげています。