オドの魔法学校

Od MagicOd Magic
Patricia A. McKillip

Ace Books 2006-06-06


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

Magic will spring up where it wills, King, and even in a lifetime you couldn't make enough laws to stop it
魔法とは意志のあるところに生じるものだ、王よ。たとえ一生かけて法律を作りつづけても、力をとどめることなどできはしない。(引用)

パトリシア・A・マキリップの「オドの魔法学校」2005年
邦訳は、創元推理文庫原島文世:訳。Kinuko Y. Craft :表紙画

原題は「Od Magic」で、「Od オド」というのは魔法使いの名前です。また、その名前は「odd(妙な)」からきています。自分の知らない、へんな魔法…異文化や異なる思想、とっぴな人物…に出会ったとき、人はどうすべきかといったようなことがテーマかもしれません。

あらすじ:
力のある魔法使いは兵器と同じと考えられて、魔法が厳重な管理下におかれている国。
植物の声がきこえるブレンダンは、オドと名乗る巨大な女魔法使いに勧誘されて、魔法学校の庭師として働きはじめます。ブレンダンには何か巨大な力があることや、本人がそれに無自覚なことなどを魔法学校の教師たちは見抜きますが、ブレンダンを庭師として送り込んだオドの意図がわからないために、王に報告することは見合わせます。
しかしそのために、違法な魔法をめぐる厄介な騒動にブレンダンは巻き込まれてしまい…?

ストーリーの構造的にはドタバタコメディに近いものがあるのですけど、マキリップ特有の上品さのようなものもあって、落ち着いた雰囲気のユーモアファンタジーといった感じです。
魔法というのは心、意志そのものだから、ねじまげたり押さえつけたり型にはめたり、支配しようとするのではなく、相手の言葉に耳をかたむけること、こちらのことを伝えようと努力すること、話しあい信頼しあうことが大事、つまり男女関係も含めてあらゆる人間関係と同じこととしてかかれます。

2006年の世界幻想文学大賞ローカス賞ノミネート作。


オドの魔法学校 (創元推理文庫 F マ 9-1)オドの魔法学校 (創元推理文庫 F マ 9-1)
原島文世

東京創元社 2008-02


Amazonで詳しく見る
by G-Tools