影のオンブリアについて思ったこと

影のオンブリアについて、ほかにも思ったことというか、つらつら考えたこと。
オンブリアに登場する女魔術師のフェイの名前は、リディアが「運命(fate)」と関連してその名前を思い出すように、運命の三女神、すなわち、ラケシス、クロートー、アトロポスと関連があるように思います。フェイのつづりはFaeyですけど、妖精のフェイ(fay)、アーサー王のモルガン・ル・フェイのフェイ(fay)と同じフェイだと考えていいかと思います。妖精の fay は、fatae、運命の三女神が崩れた形だと考えられているようです(参考:キャサリン・ブリッグズ「妖精事典」)

フェイは、おそらくはラケシス、クロートー、アトロポスをひとつにしたような存在かと思いますが、主人公のリディアにとっては、マグ=ラケシス(糸の長さをはかる)、フェイ=クロートー(糸をつむぐ)、ドミナ・パール=アトロポス(糸を切る)として登場するように思います。また、女神の三相として、娘・母親・老婆がセットとされることも多いのですが、そこから考えても、マグ(娘)、フェイ(母親)、ドミナ・パール(老婆)であてはまり、この三人は同じひとつのものという気がします。作中でフェイとドミナ・パールをリディアが同じものと考える場面があるですが、リディアにとっては、まさしく同じもの、すなわち自分にふりかかる運命そのものなんだろうなという気がします。

※以下、ちょっとネタバレになります

ドミナ・パールによって生命の糸を切られそうになったリディアが、マグによってたすけられ、フェイによって新しい顔(運命)をもらい、またドミナ・パールによって糸を切られそうになるけれども…
そうやって考えると、最後になぜマグの顔がデュコンによって描かれ、それによってリディアがたすけだされるのかということに説明がつくような気がします。そのあたりが最初に読んだとき謎だったので…。
といっても確信はありません。ぜんぜん違う理由かもしれません。

ただ、フェイのモデル(?)は、たぶんかなりの部分がモルガン・ル・フェイじゃないかなあという気はします。アヴァロンは地下にあるという説もあるようですし。そうじゃなくても妖精というのは地下に棲んでるものですし。地下と死は関連づけられるので、黄泉の女王みたいなもの、日本でいうならイザナミさんみたいなものなのかもしれません。