ナルニア国物語「朝びらき丸 東の海へ」C.S.ルイス

The Voyage of the Dawn Treader (Chronicles of Narnia, Book 5)The Voyage of the Dawn Treader (Chronicles of Narnia, Book 5)
Pauline Baynes

Harpercollins Childrens Books 1994-08


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This was the very reason why you were brought to Narnia, that by knowing me here for a little, you may know me better there.
そこにこそ、あなたがたがナルニアにつれてこられたほんとうのわけがあるのだ。ここですこしはわたしのことを知ってくれれば、あちらでは、もっとよくわかってくれるかもしれないからね。(本文より)

C.S.ルイスナルニア国物語3巻、「朝びらき丸 東の海へ」(原題:The Voyage of the Dawn Treader)1952年。
邦訳:岩波少年文庫(新版)、瀬田貞二:訳、神宮輝夫:解説。


あらすじ:
いとこのユースチスの家に預けられることになったエドマンドとルーシィは、ユースチスと一緒に絵のなかにひっぱられてナルニアへ。カスピアンの舟「朝びらき丸」にひろわれます。
カスピアンは、おじのミラースによって東の海への探検を命ぜられたまま、戻らずに行方がわからなくなった七人の貴族をさがす旅に出ていたのでした。また、ねずみのリーピチープは、それに加えてアスランの国へ行くという望みをもっていました。
一行はさまざまな島で、さまざまな冒険に出会います…!


今回初登場のユースチスは、ユースチス・クラレンス・スクラブ Eustace Clarence Scrubb という名前で、へんな名前と説明されますが、scrub には、つまんない人、ちび、といったような意味もあるようです。
あまり性格の「いい子」ではないのですが、ルイスは「いやな子」を書くのがうまい気がします。ユースチスのいやな子っぷりが物語をいろいろおもしろくしてくれています。


竜になったユースチスが井戸にほうりこまれるあたりは洗礼、ラストでアスランが子羊のすがたであらわれて魚を食べろとすすめるあたりはヨハネの21章あたりが関係しているのかな…。キリスト教のことはよく知らないのでよくわかりませんが。


むかし最初に読んだときは、リーピチープがアスランの国に行ってしまうのが、要するに死んだってことじゃないかと思って無性に悲しかった記憶があります。アーサー王のガラハッドに対してはなんとも思わなかったというのに…


あと、ひとつの国に竜を一匹以上見かけない理由はなかなか衝撃的だと、昔読んだときも思ったことを思い出しました。


朝びらき丸東の海へ ナルニア国ものがたり (3)朝びらき丸東の海へ ナルニア国ものがたり (3)
瀬田貞二

岩波書店 2000-06


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