「帰ってきた空飛び猫」ル=グウィン

And families do get separated in bad times. But they find each other again.
なにか悪いことが起きるときにかぎって、家族が離れ離れになっているものなのよ。でもいつかはまた巡り合える
(邦訳より引用)


S.D.シンドラー絵、アーシュラ・K.ル=グウィン
空飛び猫シリーズ第二巻「帰ってきた空飛び猫 Catwings Return」


街から飛び立ち、新しい暮らしを手に入れた猫たちですが、ジェームズとハリエットは一度お母さんに会いに街にもどることを決意します。
ところが街のようすはすっかり変わっていて、お母さんも見つかりません。
かわりに見つけたのは、背中に翼をはやした黒い子猫でした…


空飛び猫たちの里帰りのおはなし。といっても帰るのはジェームズとハリエットの二匹で、セルマとロジャーはお留守番です。
前作ではまだ子猫だった猫たちは、すっかり成猫に。いちばんちびだったハリエットも、今作ではお姉さんぶりを発揮します。


少し難しい単語として Homing Instinct(帰巣本能) が出てくるのですけれど、生まれた街に戻るときには帰巣本能がちょっとあやふやで頼りにならなかったのに、街からまた戻るときにはきちんと働くあたりが読みどころかなあと思いました。猫たちにとってのホームは、もう街ではないのですね。
夕暮れの金色の空のなか、旅立った者をじっと待つ猫たちと、帰ってくる猫たちの描写がきれいだなと思いました。


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帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫)

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