「すばらしき父さん狐」ロアルド・ダール


ロアルド・ダールの「Fantastic Mr. Fox」(1970年)


大きな木の下にある穴のなかでは、キツネの一家(お父さんと、お母さん、それから四匹のこどもたち)が暮らしていました。
父さんギツネは、家族のために、毎日、食糧を調達します。夜、こっそりと農場に忍び込んで、頂戴するのです。
農場は三つあるのですが、その経営者の三人の男は、そろいもそろって、イヤなヤツばかり。
人に物をあげるのだって、イヤなのに、盗まれるなんて、とんでもない。絶対に許すことができません。
三人の男たちは、キツネをなんとしてでもつかまえて、殺そうと、ショベルカーまでもちだして…?
追いつめられ、餓死寸前となったとき、父さんギツネにひらめいた、すばらしいアイデアとは…!


キツネとはいえ、いわゆる泥棒さんが主人公、なので、子供さん向けのお話としては、道徳的にどうかしらん…という意見が出そうな感じのお話ではあります…
相手が、どんなにイヤなヤツだって、だからといって、そいつから物を盗んでいいことにはならないからです。
しかし、そのあたり、きちんと作者は配慮していて、キツネの父さんは、最初、撃たれて、しっぽをなくしてしまいます。それがおそらく、泥棒という罪に対する「むくい」
でも、それ以上の「むくい」は、やりすぎというもの。

父さんギツネはいいます。

Boggis and Bunce and Bean are out to kill us.(略)
We don't want to kill them.


英語の本としては、80ページくらいの短めのお話ですし、挿絵も多く、読みやすかったです。
子ギツネがかわいい!
物語としては、一種の男の人の理想…自分の奥さんや子供たちから「パパ、ステキ!」といわれたい、こういう父親になりたいというような理想が、かなり込められているような気がします。


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邦訳は「ロアルド・ダールコレクション4 すばらしき父さん狐」柳瀬尚紀:訳
旧訳は「父さんギツネバンザイ」田村隆一:訳

すばらしき父さん狐 (ロアルド・ダールコレクション 4)

すばらしき父さん狐 (ロアルド・ダールコレクション 4)

父さんギツネバンザイ (評論社の児童図書館・文学の部屋)

父さんギツネバンザイ (評論社の児童図書館・文学の部屋)