「バウンダーズ」で思い出したこと

あんまりバウンダーズのことばかり考えてたから、思い出したくない過去まで思い出してしまいました。
「最初はグー」ではじまる、じゃんけんゲームのことです。小学生くらいのころの話です。私の学校では、「最初はグー」のあと、「じゃんけんぽん」で、パーをだすのが「おやくそく」でした。
しかし転校生だった私は、それを知らず、全員がパーをだしているのに一人だけグーをだして、負けました。そうして、何かイヤな仕事をおしつけられました。
そのあと、心優しい子が、「最初はグーのあとは、パーをだすんだよ。ごめんね、知らなかったんだね」と教えてくれました。そういう子がひとりでもいてくれたことは救いです。
私はそのとき、世間には暗黙のルールというものが存在し、それを知らないことは、損をすることだ、ということを知りました。暗黙のルール(談合)を知らなかったために負けたのは、本当の負けではないし、そのことは全員わかっていたはずなのに、ほとんどの子が、ニヤニヤと嫌な笑いをうかべて、「おまえの負け!」というだけで、「いまの勝負なし」とは言ってくれませんでした。


しかし。私はふと、気づいてしまったのです。
最初はグーのあと、全員がパーをだすなら、「チョキ」をだせば勝てるのではないか?


その思いつきを私が実行したかは、記憶がさだかではありません。
…悲しい過去だなあ。


つまり、ルールを知るものが勝負に勝てる、ということ。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「バウンダーズ」にも、それと同じことが書かれていますが、じつにそのとおり。でも、ルールがあるのに、それを教えないとか、そーゆうのはほんと、ズルですよねえ。とくに、「仲間だけが知っている暗黙のルール」というやつはムカつきますが、しかし、それを逆手にとれば、反対にそいつらをやっつけることも可能なんですね。でもそれもまた、「ズル」であって、「real(ほんとう)」の勝負じゃありませんので、実行するには勇気がいります。ぜったいに恨みを買いますもん。でも、ズルいやつらにズルしてやって、何が悪い? …って、そんなふうに思うなんて私は…、「real(誠実)」な人間ではありませんね…。
<あいつら>相手に、決して自分は<cheating(不正行為)>をしなかったジェイミーは偉いと思います。それこそほんとうの<real man>であったなあ…と。