「白鳥の湖」リスベート・ツヴェルガー

ifyouaskme2005-02-13

リスベート・ツヴェルガーの「白鳥の湖
チャイコフスキーのバレエを元にした絵本です。が、べつにバレリーナが描かれているわけではありません。


白鳥の湖」は、悲劇的な終わり方をするアンハッピーな物語、というのが、主流のようなのですが、この物語は、ハッピーエンドで終わります。
そのことについて、ツヴェルガー自身が、「白鳥の湖」に対し、ハッピーエンドであったならという思いがあったということ、そんなおり、チャイコフスキー自身も、もともとはハッピーエンドの物語としていたけれども、バレエ公演のさい、別人によって台本を書き直された、ということを知り、それならハッピーエンドにしてもいい、描けると思った…というようなことが、あとがきには書かれています。(私の脳内での翻訳ですので、正確ではありません)


私が購入したのは英訳本、ハードカバーですが、邦訳は、ノルドズッドジャパンさんから発売されています。まだ充分に入手可能です。
そんなに難しい英語ではありませんし、ストーリーも、複雑ではありませんので、英語が苦手という方でも、読もうと思えば読めてしまえると思います。が、邦訳版にはCDがついていて、朗読と、「白鳥の湖」の音楽が収録されているそうですから、「べつに英語が勉強したいというわけじゃない」という方は、さほど値段に差があるわけでもないので、邦訳の方がいいかと思います。
絵の場面の端に、楽譜が描いてあるのですよ。「白鳥の湖」を聴きながら眺めることを前提として描かれているのかな、という気がします。私はまだ試していませんが、音楽と一緒に楽しみたい絵本です。そのほうが、二倍楽しそう。


私がこの絵本で特に好きなのは、白鳥の衣装。人間の姿をしていても、そのドレスが、実に白鳥。ツヴェルガーの衣装のデザインのセンス、とても好きです。遊び心のあるユニークなデザインでありながら、優美で美しい。品があるのですね。
また、ハッピーエンドとはいえ、全体の雰囲気は悲劇性をたたえた静かで深い雰囲気で、最後のページだけが、明るくかわいい印象なのです。
ですので、「悲劇的な物語の方が好き」という方は、正直、最後のページをめくりさえしなければよかったりします。ハッピー、アンハッピー、どちらが好きかは、人それぞれ。気分によって、最後のページをめくったり、めくらなかったりするのも、いいかもしれません。