「えんどう豆の上にねむったお姫さま」ドロテー・ドゥンツェ

ifyouaskme2005-02-11

ドロテー・ドゥンツェ絵の「えんどう豆の上にねむったお姫さま」
アンデルセンのお話の中では、わりとメジャーな方かな。
私が購入したのはアメリカ版ペーパーバック。邦訳は太平社さんから出ているようですが、入手は困難かもしれません。


あらすじ:
ほんとうのお姫様と結婚したい、と望む王子が、花嫁さがしの旅にでますが、世の中にお姫様はあまたいても、ほんとうのお姫様はいません。
そんなある日、嵐の晩のことです。門をたたく音に、王様が門をあけると、そこにはずぶぬれのお姫さまがいました。王妃さまは、そのお姫さまがほんとうにお姫さまかどうか確かめるため、召使に命じてえんどう豆をとってこさせると、その豆の上に20の敷布団と、20の掛け布団をのせ、その上にお姫様を眠らせました…。


バカバカしい…と言われてしまえばバカバカしいお話です。ほんとうのお姫さまかどうかの判断が、フトンの下のエンドウ豆に気づくかどうか…という点であって、それ以外は無視されているあたり、理性で考えますと、嵐の晩に供もつけずにやってくるお姫さまが、ほんとうにお姫様かどうか、たとえお姫様であっても、そんなお姫さまと結婚することに何かメリットがあるのか…とか。
ま、メルヘンの世界では、王子さまもお姫さまも、そのへんを流浪してますから、嵐の晩に一人できたっていうことは、魔法使いに呪いでもかけられたか、継母にいじめられたか、ま、そんなとこなんでしょうけれども。
正直、そーゆう理屈で考えてはだめで、たくさんのフトンの上から、えんどう豆に気づくことが出来たっていう、そのあたりを単純に「楽しい!」と感じられれば、それでいいのだと思います。


絵本でも、その楽しさに重点がおかれていて、色とりどりのたくさんのフトンがうずたかく積まれ、お姫さまがハシゴをつかって昇ったりしているのが楽しい。
基本的に、ピンクが基調の、淡く明るい色合いの絵。
最後、王子さまと結婚するお姫様のドレスの模様が、エンドウ豆をモチーフにしているあたりの遊び心なんかも楽しいです。
しかし、私が一番気に入ったのは、雨のなか、門をあけに行く王様の絵と、そのあと、傘立てにカサをさしている王様の姿。妙に庶民的…。


私はこのお話、あらすじは知っていたので、英語でも読めました。そんなに文章は多くありません。ちょっと堅苦しい印象の文ですが、難しすぎるというほどでもありません。


この本は、太平社さんのホームページで、何点か中の絵が公開されているし、詳しいあらすじや作者紹介なんかものっていますから、興味をもたれたかたは、そちらを御覧下さい。
http://www.taiheisha.co.jp/syuppan/dorothee/dorothee3.html