「Noah’s Ark」リスベート・ツヴェルガー

ifyouaskme2005-01-27

リスベート・ツヴェルガーの絵本、「Noah's Ark」。原題は「Die Arche Noah」の英訳本。アメリカ版、ペーパーバック。
いわゆる「ノアの箱舟」のお話。旧約聖書のお話を再話したもの。
今のところ、邦訳はでていないようです。


デザイン的に、デフォルメするところは大胆にデフォルメされていて、しかし基本のデッサン力はしっかりしているから、決してチープになっていない、遊び心のある洗練された絵。
さまざまな動物たちの絵が、とてもいいです。鳥やらサルやら犬やらといった身近な動物から、コアラなんかもいます。


出てくる人間のほうは、着ている服が、けっこう現代的で、むかしむかしのお話なのか、それとも遠い(あるいは近い)未来のお話なのか、曖昧な感じがします。
現実的な動物にまざって、ケンタウロスユニコーンなんかもいたりします。


個人的に、とても好きな絵は、鳥たちが箱舟のなかの、止まり木に、それぞれ「つがい」で並んで止まっている絵(表紙の絵)と、水に沈んだ建物のなかを、魚たちが泳いでいる絵。


このお話って、実はかなり酷いお話だと私は思っているのですが、悲惨なストーリであるけれども、あんまり悲惨さ悲愴さみたいなのは漂っておらず、早春の陽光みたいなもの、寒さがゆるみ、ほのかに暖かくなってきたときの空気、みたいなものが全体から感じられる気がします。


文章の量は、それほどむちゃくちゃ多いわけでもなく、むちゃくちゃ難解というほどでもないので、高校生くらいの方なら、読めると思います。