「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

Eight Days of LukeEight Days of Luke
Diana Wynne Jones




Amazonで詳しく見る
by G-Tools

感謝してたさ。あんたたちがよってたかってがみがみ言いはじめるまでは。
I was grateful, until you all started going on at me.(引用)

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「ぼくとルークの一週間と一日」、原題「Eight Days of Luke」(1975年)

あらすじ
両親がいなくて、親戚の世話になっているデイヴィッドにとって、家に帰らなくてはならない休暇は憂鬱なものでした。おじさんもおばさんも、その息子も、その息子の嫁も、みんなデイヴィッドに「感謝」を要求しますが、いくらデイヴィッドが感謝の言葉を口にしてもそれを信じようとしませんし、けっきょくのところ、デイヴィッドのために何かしてやるのがいやでたまらないだけなのです。邪魔にされ、よってたかって攻撃されることにうんざりしたデイヴィッドは、親戚たちを呪ってやろうと、でたらめな言葉をとなえます。すると塀がくずれ…。炎をあやつる不思議な少年、ルークがあらわれます。

邦訳と、洋書は英国版ペーパーバックを読みました。アメリカ版も出ていたようですが現在入手は難しいようです。邦訳は東京創元社から大友香奈子:訳、佐竹美保:絵。表紙だけでなく挿絵もあります。

ちょっとネタバレになりますけど、北欧神話を題材にした作品です。英語の一週間の曜日名の多くは、北欧神話の神さまの名前からきていて、そのあたりが関係してきます。ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品は、神話や伝承を下敷きにしたり、昔話をパロったりというのは手法としてよく出てくるのですが、たいていは、「みなさんご存知」を前提にしていて、あまり説明されません。そのため、日本人にはなじみがうすいものが題材になると、わかりにくくなってしまう…ということがあります。
でも今回の作品は、著者や訳者あとがきでもいろいろと、「これは…こういうことです」といったようなことが書かれているので、北欧神話のことをまったく知らなくても大丈夫。私も北欧神話はよく知らなかったので、あとがきを読んで「なるほどー」と思いました。クリケットについての解説も丁寧なのが嬉しい。

ぼくとルークの一週間と一日 (sogen bookland)ぼくとルークの一週間と一日 (sogen bookland)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

東京創元社 2008-08


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
書庫:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ