「銀色の恋人」タニス・リー

The Silver Metal LoverThe Silver Metal Lover
Tanith Lee

Bantam Books (Mm) 1999-05-04


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Mother, I'm in love with a robot…
ママ、わたしはロボットに恋してしまったのよ…(訳は邦訳より)

タニス・リー Tanith Lee の「銀色の恋人 The Silver Metal Love」1981年

邦訳は早川文庫から1987年に、その後2007年に新装版が出ました。井辻朱美:訳。
旧版はもってないので違いとかはわかりませんが、新装版は訳者あとがきに付記が少しあります。あと解説に小谷真理


タニス・リーの作品は邦訳を何冊か読んだことがありますけど、たいへんに多作な作家さんで長編は70冊以上にもなるんだとか。そのぜんぶが邦訳になっているわけではないですし、邦訳も原書も昔のものは入手が難しくなっているものが多いです。
とりあえずこの本は続編が最近出たこともあって、原書も入手可能だったので、邦訳とあわせて読んでみることにしました。原書もエディションがいくつか出てるのですが、いま出てるのはキヌコ・Y・クラフトさんが表紙画を描いてます。…その表紙画なんですが…襟のあいた胸元に…控えめな描写ではありますが…胸毛が。胸毛。
美青年ロボットに胸毛。


カルチャーショックを受けました。ロボットに胸毛。どうにも気になって思わず本文も胸毛に注目して読んでしまいましたが、たしかに本文にも胸毛の描写がありました。
セクシーさが売りのロボットという設定なので胸毛はセクシーアイテムなんだろうな…


物語は十六歳の少女、ジェーンの一人称でつづられます。お金持ちの母親をもち、雲のなかにある綺麗で、なんでもそろった家にすんでいます。ある日ジェーンは人間そっくりのロボット、シルヴァーと出会い、恋におちてしまいます。
人間とロボットの許されない恋。ジェーンは家を出、シルヴァーとふたりで暮らしはじめるのですが…


物語のなかで何度かロミオとジュリエットのセリフがでてきたりもし、基本的にロミオとジュリエットをSF風にアレンジしたような印象をうけました。また人魚姫の逆バージョンのような味わいも。
SFといっても小難しさはなく、少女小説のような、ロマンティックな恋愛小説。やや大人向け。


最初は主人公が感情過多で情緒不安定な感じで、ちょっと感情移入しづらかったのですが、読みすすめるうちに気にならなくなり、涙もろい私はベタな展開だと思いつつもつい泣いてしまいました…


銀色の恋人 (ハヤカワ文庫 SF リ 1-2)銀色の恋人 (ハヤカワ文庫 SF リ 1-2)
井辻 朱美

早川書房 2007-04


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