「七わのからす」リスベート・ツヴェルガー

リスベート・ツヴェルガーの絵本。
グリム童話のKHM 25「七わのからす(Die sieben Raben)」


ツヴェルガーの絵本のなかでも比較的初期のもので、英語版も出てはいたのですが、現在はちょっと入手が難しいようです。でも最近、ツヴェルガーの絵本の英語版はちょっとずつ新版になって復刊されてたりもするので、これももしかするとそのうち復刊されるかもしれません。


とりあえず邦訳は入手可能だったので(よかった!)、これは邦訳と、あとドイツ版のミニ版の方の絵本を入手。見比べてみるとドイツ版のほうには絵の隅っこにツヴェルガーのサインらしきものが鉛筆みたいなので書かれてたりするのですが、日本版にはないという妙な違いが。なんだろうこの違い…。日本版のほうがサインをけずったというわけではなさそうなので、ドイツ版が新装版を出すときにサインを入れたとか…?
…ちょっとよくわかりませんが、まあたいした違いでもないので気にしないことにします。


邦訳は冨山房さんから池田香代子さん訳で出ています。(Amazonさんのデータでは富山房となってるのですが、正しくは「冨」山房さんのようです)
表紙の画像はAmazonさんにはなかったのですが、出版社さんのオフィシャルサイトで見れます→http://www.fuzambo.net/jidousho/ehon/05/index.html


あらすじ:
男の子ばかりが七人も生まれて、女の子がほしいと願っていた夫婦に待望の女の子が授かります。
男の子たちは女の子の洗礼のための水をくみにいくのですが、つぼを井戸のなかに落としてしまいます。父親に怒られると思って帰れずにいると、男の子たちの帰りが遅いのに苛立った父親が、カラスになってしまえと呪いの言葉を吐いてしまいます。すると男の子たちはカラスになって、どこかへ飛びたってしまいました。
やがて成長した女の子は、自分に七人の兄がいたことを知り、兄さんたちの呪いを解こうと旅にでます…


旅にでた女の子は、お日さまやお月さまのもとをたずね、それからお星さまのところで兄さんたちがガラスの山にいることを教えてもらい、扉をあけるための鍵ももらいます。その鍵というのがヒヨコの骨なのですが、いざガラスの山にたどりついてみたときには鍵をなくしてしまっています。そこで女の子のとった行動というのがなかなかすごくて、自分の指を切り落としてつかう、というあたりが実にグリム童話っぽくていいなあと思いました。


ツヴェルガーの絵本で、「お月さま」を擬人化した絵は、「ちいさなヘーヴェルマン」で堪能できるのですが、そちらの優しげなお月さまとはまた違った、人を食べるこわいお月さまの絵もいいです。


ツヴェルガーといえばアーサー・ラッカムですが、ラッカムの「七わのからす」の絵はこちらのサイトさん(英語)→http://www.surlalunefairytales.com/illustrations/sixswans/rackhamravens.html
で見れます。

                                                                                • -

七わのからす
グリム リスベート・ツヴェルガー 池田 香代子

富山房 1985-01

→Amazonで詳しく見る