「The Silver Cow」スーザン・クーパー

ifyouaskme2005-10-28

ウェールズの伝説を再話した絵本。スーザン・クーパー文 ウォリック・ハットン絵のケルト三部作絵本のひとつ「The Silver Cow」。
セルキー伝説(あざらし妖精セルキー。人魚みたいなもの)を題材にした「海と空のマイリ」や、タム・リンを題材にした「妖精の騎士タム・リン」は、邦訳がでているのですが、この一冊だけは、まだ未訳。英語は、高校生さんくらいなら、読めると思います。それほど難しくはありません…が。「Tylwyth Teg」…って。普通の英語の辞書にはまず載ってません…。ティルナ・ノグみたいなものかな?と思いながら読みましたが、ネットで検索したら、ウェールズ地方に伝わる金の髪の妖精族だとか。また、人間に好意的な妖精をひろくこう呼ぶのだそうで。ティルエス・テグとかタルウィス・ティグとか訳されるみたいですが、ウェールズ語でほんとうにそう発音されているのかは…どうなんだろう。参考サイトさん→http://myusya.client.jp/t.html


ある日、牛飼いの少年が、湖のそばでハープをかなでていると、銀に輝く牛があらわれて、少年の音楽に耳を傾けます。その牛は、他の牛の3倍もミルクを出すのでした。
少年は、ほんとうは父親から、ハープを演奏することを禁じられていました。父親にとって、音楽は何の価値もなく、そんな金にならないことはするなといいます。
しかし、銀の牛のおかげで、少年の家は裕福になりました。それでも父親は、あいかわらずケチで、息子を学校へも行かせず、働かせつづけます。
やがて、銀の牛が歳をとり、もう子供を産むことも、乳をだすこともできなくなると、父親は、銀の牛を肉屋に売ろうとします。
少年は、妖精からもらった牛を、そんなふうにしてはいけない、と父親を止めようとしますが、父親は、妖精なんて信じません。また、息子が、自分に隠れてハープを演奏していたことを知り、怒って、ハープをとりあげてしまいます。
そして肉屋が銀の牛のノドをきりさいたとき…


といったような、お話です。
ケチで欲深な男が、妖精を信じなかったばかりに、せっかくの富をだいなしにする…というお話。
「Llyn Barfog」という湖に関する伝説で、その湖に咲く睡蓮の由来の物語。
つまり、白い睡蓮の花が、実は、妖精の銀の牛が姿を変えたものである、と。
実在の湖で、アーサー王にも関係ある…といいますか、あの、スーザン・クーパーの「闇の戦い」シリーズ「樹上の銀」にて、ジェーンがアヴァンクに襲われた湖だったりします。
参考サイト→http://www.kingarthursknights.com/theland/llynbarfog.asp
または→http://www.thelostland.com/barfog.htm